KORG PBS-TRI

 

TRINITYのプレイバックサンプラー・オプションです。これを装着すると、プログラムのバンク数が増えたり、AIFFが読み込めたりしたはずです。けれども、ちゃんとした楽音用に、鍵盤の端から端までサンプルを並べる(これをマルチサンプルというそうです)となると、これはなかなかの大作業です。ベロシティのスプリットなどを考えなくても、ひとつのサンプルでカバーできるのは、上下1オクターブまでで、最低でも4つか5つのサンプルが必要になるからです。それにそもそもTRINITYで作業するぶんには、内蔵の波形で充分ともいえます。次にドラム用やワンショット、ループのサンプルに使用するという方法が考えられますが、そうなると、私の場合はMPC2000で事足れり、ということになります。フィルターやピッチ、各種LFOなどをリアルタイムにいじりたい場合はTRINITYで発音させるのがいいんでしょうが、それらが固定されているのであれば、フロッピーによるサンプルデータのやりとりの手間や、容量の問題から、MPC2000に取り込んだほうが無難かも知れません。

しかし私はボコーダーを持っていないので、このオプションのメモリはボコーダー専用になりました。手順としては、まずドキュメントトーカに適当な英文などを喋らせて、SoundEdit16で録音します。もうひとつのトラックに外部からのクリックを録音して、それを見ながら、ただの言葉でしかないドキュメントトーカの声を、部分的に伸ばしたり縮めたり削ったりしながら曲のテンポに合わせていきます。それをフロッピーに入れて、TRINITYに読み込ませます。考えてみれば、TRINITYから発音されるまでは完全にデジタルなのですが、もともとがドキュメントトーカで、さらにボコーダーを通すものですから、発音が不明瞭な事この上ありません。まあ、はっきり聴かせたければ、己が歌えというのが道理ですし、私は仮に「トキオ」が「トシオ」に聴かれたところで、面白がりこそすれ困るなんていうことはないので、よしとします。
結局フロッピーでデータを渡し、アサインして、という手順は踏まなければいけないのですが、単体機そのもののスペースやワイヤリング、外部からのキャリア音源が必要な場合にはその設定など、諸々考えあわせると、なかなかスマートなボコーダーのあり方だと思います。サンプルとキャリアの音色、そのフレーズを鳴らすシーケンサ、ボコーダーのエフェクト、これだけ使っていくとTRINITYをいくらか駆使している気分になります。あとはHDRぐらいですか。

そんなプレイバックサンプラーにも、ちょっと首をかしげたくなるようなところがあります。まず、フラッシュROMに焼いたサンプルデータを消去したい場合、まるごと全部でなければ消去できないという点、これは困ります。さっきインポートしたサンプルを手直ししたいんだけど、というような時でも、それまでにあったすべてのサンプルデータまでデリートして、また全部入れ直さなくてはなりません。めんどくさいです。
それからもうひとつ、たとえばまず「SONG_01」という名前のシーケンスデータを呼び出したとします。それから「VOICE_01」という名前のサンプルをインポートします。最後にシーケンスデータを保存しようとすると、その名前が「VOICE_01」に変わってしまうという現象が起こります。もちろん今までの「SONG_01」にリネームしてから保存することになります。これには何の意味があるのか解りかねます。サンプルの名前でソングを保存する人は、あまりいないですし、TRINITYで波形編集ができない以上、もともとフロッピーから持ち込まれたデータを、またフロッピーに保存し直すということも考えにくいですから。

この度TRINITYを無事、恩人Sに返却しました(でもQY70はまだ借りてる)。これからは本来の持ち主がこってり使い倒すことでしょう。そこで自分は、この大きな穴を何で埋めるのか、そこが問題です。当面はQY70が無理にでも埋めます。

 

 

(2000.03/10)


YAMAHA QY10
KORG SIGNALDELAY
YAMAHA QY20
ZOOM STUDIO1202
YAMAHA TG300
ASCII オトッキー
KORG X3R
ENSONIQ SQR Plus32voice
KORG TRINITY
BIT2 シンセサウルス
Roland MC303
YAMAHA QY10追加分
  ROCKSTEREO
YAMAHA TX802
KORG TRINITYプレイバックサンプラー
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